ゆたかコラム

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大腸カメラを受けましょう

みなさま、こんにちは。

開院から2か月が経ちました。多くの患者さまにご来院頂き、4月1日の開院から2か月を待たず、5月下旬までに内視鏡検査件数が100件を超えました。

まだまだ多くの方に、内視鏡検査を受けていただきたいと考えています。

そこで今回は大腸カメラ(下部内視鏡)検査の重要性についてお話しします。

目次

  • 大腸がんの疫学:日本人が最もかかりやすい「大腸がん」
  • 大腸がんの発生:どのようにして「がん」が生まれるのか
  • 大腸カメラを受けるべき人
  • 当院の大腸カメラ検査への取り組み:苦痛を抑え、誰もが受けやすい検査を

大腸がんの疫学:日本人が最もかかりやすい「大腸がん」

現在、日本の医療において大腸がんは決して無視できない大きな存在となっています。

国立がん研究センターが発表した「大腸がんファクトシート2024」によると、日本国内で年間15万人以上が大腸がんと診断されており、これは「がん罹患(りかん)全体の15.6%」を占め、男女合わせた総数で第1位となっています。

日本人が一生のうちに大腸がんと診断される確率は、男性で10.3%(10人に1人)、女性で8.1%(12人に1人)にものぼります。

さらに死亡数に目を向けると、年間5万3千人以上が大腸がんで亡くなっており(がん死亡全体の13.8%)、これは肺がんに次いで第2位、女性においては死亡原因の第1位という深刻な状況です。

年齢調整死亡率の推移を世界と比較しても、日本は減少傾向にはあるものの諸外国に比べてそのスピードが鈍く、直近では国際的にも高い水準にあります。

日本を含むアジア諸国において、近年の急速な経済発展やライフスタイルの欧米化(赤肉・加工肉の摂取増、肥満、運動不足など)に伴い、大腸がんの罹患率・死亡率が高水準で推移していることが指摘されています。

このように、大腸がんは誰もが当事者になり得る「身近な病気」なのです。

大腸がんの発生:どのようにして「がん」が生まれるのか

大腸がんは、大腸の最も内側にある「粘膜上皮細胞」から発生する悪性腫瘍です。その発生経路には、主に以下の3つのメカニズムがあることが分かっています。

①古典的経路(adenoma-carcinoma sequence)

大腸の粘膜にできた良性のポリープである「腺腫性ポリープ」が、長い時間の経過とともに様々な遺伝子の異常を段階的に獲得し、小さなポリープから大きなポリープへ、そして早期のがんから進行したがんへと、徐々に変化していくルートです。

腺腫性ポリープ

②鋸歯状経路(serrated pathway)

腺腫性ポリープとは異なる、「鋸歯(きょし:のこぎりの歯)」のような形態をした良性のポリープ(鋸歯状病変)を前駆病変として発がんする経路で、近年注目されています。

鋸歯状病変

③de novo(デノボ)pathway

ポリープを経由せず、正常な粘膜から直接がんが発生する経路です。

大腸がんの多くが、①もしくは②の経路から発生していることが知られています。

古典的経路(adenoma-carcinoma sequence)を提唱したVogelsteinらも示している通り、正常な粘膜から良性のポリープを経て進行がんに至るまでには、数年から十数年という長い年月がかかるケースが多いとされています。

つまり、前がん病変であるポリープの状態で切除しておけば、将来の大腸がん発症を防げるということです。

大腸がんは“できてから見つける病気”ではなく、“できる前に予防できる病気”でもあるのです。

大腸カメラを受けるべき人

 日本の公的な「対策型がん検診」では、40歳以上を対象に年1回の「便潜血検査」を行うことが基本とされています。これを踏まえ、以下に当てはまる方は、精密検査、または相談の上で大腸カメラをご検討ください。

・健康診断の便潜血検査で「陽性」が出た方

便潜血で1回でも陽性が出た場合は、痔や一過性の出血のほか、大腸がんやポリープなどによる出血の可能性があるサインです。見逃さずに、必ず精密検査として大腸カメラを受けてください。

・お腹の症状(血便、便秘・下痢の繰り返し、腹痛など)がある方

「ただの痔だろう」「年齢による便秘だろう」と自己判断せず、一度ご相談ください。

・ご家族に大腸がんの既往がある方など、リスクが気になる方

大腸がんの約5%は遺伝性と言われており、遺伝的素因を持つものは約30%にのぼります。血縁者に大腸がんの方がいる場合などは、リスクに応じて定期的な検査が推奨されることがあります。

当院の大腸カメラ検査への取り組み:苦痛を抑え、誰もが受けやすい検査を

当院では、みなさまが必要なときに安心して検査を受けられるよう、徹底した苦痛軽減への取り組みを行っています。

当院では大腸カメラ検査を予約いただく前に、必ず医師による診察・説明を行っています。その中で、どのような準備や検査法が適切か、相談しながら決定していきます。

  • 院内で下剤(腸管洗浄剤)の内服が可能

大腸カメラの前には、腸をきれいにするために一定量の腸管洗浄剤を飲んでいただく必要があります。「自宅で飲むのは不安」「途中でトイレに行きたくなったらどうしよう」という方のために、当院では専用の院内スペースでスタッフが見守るなか、安心して下剤をお飲みいただける体制を整えています。

また内服していただく腸管洗浄液につきましても、他剤にくらべて内服量が少なく、また腸管洗浄力の高い薬剤(モビプレップ®)を使用しております。飲み方についても事前に詳しくご説明いたします。

  • 鎮静剤の積極的な使用

特別な理由がない限り、ほぼ全ての検査でウトウトするお薬(鎮静剤)を適切に使用して検査を行なっています。

過去に腹部の手術を受けられた方などは特に痛みを感じやすいこともあり、そのような場合は痛み止め(鎮痛薬)も必要に応じて使用しております。

ウトウトと眠っているような状態で、極力痛みや不安を感じることなく検査を受けていただけるように最大限配慮しております。

  • 熟練した専門医による内視鏡挿入・検査・治療

大腸は複雑に曲がりくねっています。カメラ(内視鏡)を押し込むと大腸はどんどんと伸びて、その時に痛みを感じます。

当院では「ホールド法」という、腸を無理に伸ばさず優しくスムーズに挿入する技術を用い、お腹の張りや痛みを最小限に抑えるよう、丁寧で苦痛の少ない挿入を心がけています(また機会があれば、挿入法についても述べたいと思います)。

苦痛への配慮という点からは少し外れますが、内視鏡医の熟練度・能力として重要な点は、ポリープを発見する力です。

腺腫性ポリープを発見する能力はADR(Adenoma Detection Rate:腺腫を発見した検査件数/総検査件数)として、内視鏡医の観察能力と検査の質を測る国際的な指標として世界中で用いられています。ADR 25%以上が最低限求められる質とされています。

当院では、開院した2026年4月に20件の大腸カメラ(全大腸内視鏡検査のみとし、S状結腸内視鏡は除く)を行い、16件で切除すべきポリープを同定し、検査中に切除しています。

カメラの挿入をいかに短時間に、また苦痛を少なくすることにばかりが注目されますが、本当に重要なことは、検査中にポリープを適切に発見し、確実に切除することです。

せっかく決心して受けられたカメラ検査でも、ポリープがあるのに見つけられずに終わってしまったら、検査の意義が低下してしまいます。

【まとめ】

大腸がんは、早期発見と適切な治療で克服できる可能性が非常に高いがんです。

大腸カメラが「受けやすい検査」でないことは事実ですが、今回のコラムを通じて大腸カメラ検査の重要性をご理解いただき、必要な方は是非検査を受けて頂きたいです。

検査がご不安な方や説明を聴きたい方も、是非お気軽に受診ください。

神戸市西区で胃カメラ・大腸カメラをうけるなら、学園都市駅徒歩1分 ゆたか内科・内視鏡クリニック。検査が辛い・怖い方も麻酔を使って楽に受けて頂けます。胃カメラは鼻からの検査も可能です。大腸カメラは検査と同時にポリープ切除を行っています。

 みなさまの身近なクリニックとして、一般内科(生活習慣病)予防接種、健康診断も行っております。様々な健康の不安に対応いたします。

 デジスマ診療による予約システムを導入しておりますが、予約のない方の受診ももちろん可能です。是非、お気軽に受診してください。

【参考文献】

・国立がん研究センター がん対策研究所 「大腸がんファクトシート2024」

・Sung H, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN Estimates of Incidence and Mortality Worldwide for 36 Cancers in 185 Countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249.

・Vogelstein B, Fearon ER, Hamilton SR, et al. Genetic alterations during colorectal-tumor development. N Engl J Med. 1988;319(9):525-532.

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